解体工事の建設業許可を受けずに、500万円未満の解体工事を請け負うには、元請・下請の別にかかわらず解体工事業の登録が必要になります。
解体工事業登録と建設業許可とのちがい
解体工事業の建設業許可を受ければ、解体工事業登録は不要です。
建設業許可と解体工事業登録の違いは以下のとおりです。
解体工事業登録 | 建設業許可 | |
---|---|---|
可能な工事 | 1件500万円未満の解体工事のみ | 1件500万円以上の工事も可能 |
施工可能な場所 | 登録を受けている都道府県のみ | 全国で可能 |
登録/許可申請先 | 解体工事を施工する場所の都道府県 | 全ての営業所が1つの都道府県にある場合:都道府県 営業所が2以上の都道府県にある場合:国土交通省 |
登録/許可に必要となる技術者 | 1名(技術管理者) | 営業所ごとに必要(営業所専任技術者) |
このように、解体工事業の建設業許可を受けていれば、都道府県ごとの解体工事業登録が不要になったり、施工できる工事の請負額に制限がないなどのメリットがあります。
しかし、新規の事業者にとって建設業許可取得のハードルが大変高いため、解体工事業登録からのスタートとなる事業者が多いのが現状です。
技術管理者の設置
解体工事業の登録をするには、技術管理者を1名選任しなければなりません。
技術管理者とは、工事現場における解体工事の施工技術上の管理をつかさどる者で、建築物などの構造・工法、周辺の土地利用状況などを踏まえた解体方法や機械装置などに何する必要最低限の知識や技術を備えた者をいいます。
技術管理者になるためには、下記のいずれかの要件を満たした者でなければなりません。
学歴及び実務経験
- 大学で土木学科等を修めて卒業し、解体工事に関し2年以上の実務経験を有する
- 高等専門学校で土木学科等を修めて卒業し、解体工事に関し2年以上の実務経験を有する
- 高校で土木学科等を修めて卒業し、解体工事に関し4年以上の実務経験を有する
- 中高一貫学校で土木学科等を修めて卒業し、解体工事に関し4年以上の実務経験を有する
- 解体工事に関して8年以上の実務経験を有する
有資格者
- 1級建設機械施工技士
- 2級建設機械施工技士(第1種または第2種)
- 1級土木施工管理技士
- 2級土木施工管理技士(土木)
- 1級建築施工管理技士
- 2級建築施工管理技士(建築または躯体)
- 1級建築士
- 2級建築士
- 技能検定 とび・とび工 ※2級の場合は、合格後1年以上の実務経験が必要
- 技術士 建設部門
実務経験+講習修了者
次のいずれかの学歴および実務経験を有する者で、国土交通大臣が実施する講習または国土交通大臣の登録を受けた講習(公益社団法人全国解体工事業団体連合会が実施する解体工事施工技術講習のことをいう。)を受講した者。
- 大学で土木学科等を修めて卒業し、解体工事に関し1年以上の実務経験を有すること
- 高等専門学校で土木学科等を修めて卒業し、解体工事に関し1年以上の実務経験を有すること
- 高校で土木学科等を修めて卒業し、解体工事に関し3年以上の実務経験を有すること
- 中高一貫学校で土木学科等を修めて卒業し、解体工事に関し3年以上の実務経験を有すること
- 解体工事に関して7年以上の実務経験を有すること
国土交通大臣の登録を受けた試験に合格した者
国土交通大臣の登録を受けた試験とは、解体工事施工技士試験(公益社団法人全国解体工事業団体連合会が実施する試験)のことをいいます。
登録拒否事由
申請者が次のいずれかに該当するものであるときは、登録が認められません。
- 申請書又は添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があるか又は重要な記載が欠けているとき
- 解体工事業の登録を取り消された日から2年を経過していない者
- 解体工事の業務停止を命じられ、その停止期間が経過していない者
- 解体工事業を取り消された法人において、その処分日の前30日以内に役員であり、かつその処分日から2年を経過していない者
- 建設リサイクル法に違反して罰金以上の刑罰を受け、その執行が終わってから2年を経過していない者
- 暴力団員
- 暴力団員でなくなった日から5年を経過していない者
- 暴力団員等がその事業活動を支配する者
- 解体工事業者が法人の場合で、役員の中に、上記(2)から(7)のいずれかに該当する者がいるとき
- 解体工事業者が未成年で、法定代理人を立てている場合、法定代理人が上記(2)から(7)のいずれかに該当するとき
- 技術管理者を選任していないとき
登録申請の必要書類
解体工事業登録申請の必要書類は次のとおりです。(新規・更新共通)
書類 | 備考 |
---|---|
解体工事業登録申請書(様式第1号) | |
誓約書(様式第2号) | |
実務経験証明書(様式第3号) | 技術管理者の要件を実務経験により証明する場合 |
登録申請者の調書(様式第4号) | 法人の場合は、法人および役員全員分 |
役員等氏名一覧表 | |
履歴事項全部証明書 | 法人の場合のみ |
住民票 | 法人の場合は役員全員分、個人の場合は事業主分 |
技術管理者の住民票 | |
技術管理者の資格証 | 技術管理者の要件を資格により証明する場合のみ |
技術管理者の卒業証書または卒業証明書 | 技術管理者の要件を学歴により証明する場合のみ |
受講修了証 | 技術管理者の要件を講習の受講により証明する場合のみ |
登録申請の場所
解体工事業の登録は、解体工事を施工しようとする全ての場所の都道府県の知事に対して申請します。
例えば、東京都と千葉県で解体工事を施工する場合は、東京都と千葉県の両方の自治体で解体工事業登録を受ける必要があります。
登録の有効期間
解体工事業登録の有効期間は、登録から5年間です。
有効期間満了後も引き続き解体工事業を行う場合は、有効期間が満了する日の2か月日前から30日前までに更新の申請を行わなければなりません。